松ぼっくりフォーラム

第3回 鈴木健次氏 講演

昭和24年度 中学校卒
中学1期生、鈴木 健次氏
(SEASIDE 第18号 御寄稿)

<略歴>
昭和9年生まれ 東京都出身。
昭和34年、東京大学教養学部教養学科卒。
同年、日本放送協会(NHK)入局、教養番組部副部長、NHKスペシアル番組部主管、家庭番組部担当部長などを歴任。
平成2年、NHKを依願退職して大正大学史学科教授に就任、同大学国際文化学科長、大学院比較文化専攻長などをつとめて、平成17年、定年退職。現在、NHK会友、大正大学名誉教授。

湘南学園に在学中、宮下正美先生から折或る毎に本を読みなさい!と言われた。
神田神保町の古書店街のことも、先生に教えられたのだった。
中央林間から新宿まで、当時は1時間ほどかかった。
そこから更に中央線に乗って御茶ノ水駅を降りると古本屋街まで走っていき、心を弾ませて一軒ずつ見て回った。
買ったのは大半が小説だったが、「福翁自伝」を入手したのは、これも宮下先生に啓発されてのことと思う。
岩波文庫の戦前版であった。
今の若い人たちには福澤諭吉も岩波文庫も縁遠い存在になっているが、私はその時の面白さが忘れられず
大学で一学期かけて「福翁自伝」を学生と読んだことがある。
たまたま、その年 柴田恭兵主演の映画「福沢諭吉」が封切られて見に行った。
江戸で若い中津藩士たちに学問を教えていた福澤は、長州藩追討に際して学生を戦いに送り出せと言われる。
すると彼は、そんな流れ弾が当たる危険がある戦に大事な留学生は出せない、と藩主の命令を拒否してしまうのである。
まことに格好がよい。
ところが「福翁自伝」には続いて、鉄砲を担がせるというなら領分中の百姓に担がせたらよい、とある。
あの「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と書いた福澤諭吉が!である。
私は福澤諭吉に興味があり、偉大な先覚者だと思っているが、福澤といえども時代の制約から完全に逃れることは出来ない。
彼の著書には身分的差別・民族的偏見を示す言葉が散見される。
歴史は進歩する、などと安易に言えばたちまち批判されるが、少なくとも人権尊重といった面では人間は進歩してきた、と私は考えている。
「全ての人間は平等に創られている」と宣言して建国したアメリカだが、オバマ大統領の両親の時代には未だ、州によって白人と黒人の結婚が禁止されていたのである。
そのアメリカが黒人を大統領に選んだ。
歴史は好事家の古文書趣味に終わらせたくない。
そこに人間の進歩を学びたいと思う。

第3回 松ぼっくりフォーラムの開催お知らせ
鈴木健次氏をお迎えし、多方面にわたるご経験によって蓄積された貴重なお話を、
「放送番組の制作を通して学んだこと」(仮題)というテーマでご紹介いただく予定です。
≪開催のご案内≫
開催場所:湘南学園アリーナ
開催日:2011年7月2日 (土)
開 場:10時10分
講演開始:10時30分(終了予定12時)

詳しくは、こちらをご覧ください。

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